有酸素運動の効果はメリットだらけ!健康診断を乗り切れ!【生活習慣病予防】

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有酸素運動の効果はメリットだらけ!健康診断を乗り切れ!【生活習慣病予防】


健康診断が近づいてくると体重計に乗り始めたり、
食生活を見直したりする機会が増えるのではないでしょうか?


同じく、「有酸素運動」をし始めて健康診断を乗り切ろうと考えるヒトも多く出てくるのではないかと察します。


この有酸素運動、果たして何の効果があるか知っていますか?

知らずに有酸素運動しても続けるモチベーションになりませんよね。


本記事では
NewsPicksに掲載された「筋トレにはメリットしかない【7つの科学的根拠】」に引き続き、
「有酸素運動の効果」について徹底解説していきます。

記事の信頼性

●【最終学歴】東京大学大学院 (博士)

●【前職】大都市部予防医学センター勤務

●【現職】大学教員

 

有酸素運動の効果はメリットだらけ!

有酸素運動の効果はメリットだらけ!健康診断を乗り切れ!【生活習慣病予防】

有酸素運動の効果はメリットしかありません。

有酸素運動による健康への効果は世界中の研究で証明されてきており、科学的根拠が蓄積しています。

我が国日本も、厚生労働省が定めるガイドラインに有酸素運動の項目が加えられています。
(参照:健康づくりのための身体活動基準2013



さて、ここからは「有酸素運動の効果」を具体的に紹介致します。



有酸素運動は総死亡率を低下させる

有酸素運動には総死亡率のリスクを下げる効果があります。


総死亡率とはがん、心血管疾患などの病気による死亡を含めた全ての死亡を指し、一定期間(研究の追跡期間)のうちにどれほど亡くなったか(ざっくり)、から導き出されます。


このあとに生活習慣病の紹介をしますが、
結局、「有酸素運動によって総死亡率が下げる効果」があるという現象が最もインパクトがある上、重要な結果となります。


→生活習慣病で死亡する、ってことは稀なのです。
生活習慣病に起因する心血管疾患などによって亡くなることが圧倒的に多い、ということです。



世界中の研究が統合された報告によると、
体力が低い人は、高い人に比べ総死亡率のリスク比が1.7倍となります。





有酸素運動の効果は2型糖尿病を予防する!

2型糖尿病は世界で最も蔓延している生活習慣病の1つで、
我が国においても約330万人の患者数が報告されています。


糖尿病は血糖値の異常上昇によって毛細血管が次々に破壊されていくことで、心血管疾患を引き起こすと言われています(ざっくり)。


血糖は本来エネルギーの役割を果たす物質ですが、
体内で消費できないと残留するか、脂肪へと変換されます。


つまり、糖尿病はエネルギー消費が少ないと罹りやすい、という至ってシンプルな話に繋がるのです。


世界中で糖尿病の研究が行われていますが、
我が国においても、健康な男性1万人を追跡すると、持久力が高い人(有酸素運動を日常的に行っている人)ほど糖尿病に罹患する人が少なかったという報告がされています。





有酸素運動の効果はコレステロールを正常に戻す!

有酸素運動の効果はコレステロール異常を正常に戻すことが出来ます。

その効果は筋トレよりも大きく、
市民ランナーや自転車通勤者ほどコレステロールは正常者が多い傾向にあるほどです。


コレステロールは主にホルモンの材料、エネルギーとして働くため、体に不必要な物質ではありません


善玉(HDL)コレステロール
悪玉(LDL)コレステロール
中性脂肪(TG)

と主として3つが該当しますが、

有酸素運動はこれら3つを

↑ 善玉(HDL)コレステロール
↓ 悪玉(LDL)コレステロール
↓ 中性脂肪(TG)

という方向へ持って行くことが可能です。

コレステロール値の異常は糖尿病と同じく、血管を詰まらせてしまうことで心血管疾患のリスクとなることが分かっています。


しかし、有酸素運動はコレステロールの異常を正常に戻すことが出来る最強のメソッドなのです。



【関連記事】【脂質異常症といわれたら】コレステロールを下げる運動【筋トレ・有酸素運動】


有酸素運動の効果は高血圧も予防する!

有酸素運動の効果は高血圧も予防することが出来ます。


高血圧は糖尿病に並び、世界で最も人を苦しめている病気の1つです。


その原因は様々で明らかになっていないことが多いのですが、
そのひとつに持久力の低下が関係していると言われます。


また、既に高血圧と診断されている人にとっても有酸素運動の効果はてきめんです。


心臓から拍出される血液は毛細血管まで巡りますが、
その際にリズミカルな運動によって血管の硬さが徐々にほぐれていくそう。


高血圧の人も、高血圧になりたくない人も有酸素運動は絶対にすべき運動のひとつと言われる所以です。





有酸素運動の効果は睡眠の質を向上させる!

有酸素運動の効果は、睡眠障害に悩む人にとっては朗報です。


筋トレの効果と同じように有酸素運動にも睡眠の質を高める効果や、無呼吸症候群を改善させる傾向が確認されています。




有酸素運動の効果は認知機能の改善を促す!

有酸素運動の効果はとどまることを知りません。


脳へのポジティブな影響も多く報告されています。
特に50歳以上から特段増加する認知症の予防効果もあります。


有酸素運動は毛細血管の細分化を促進します(血管新生)。
これは各細胞へ酸素の運搬を速やかに行うための生体の適応ですが、筋肉だけでなく脳細胞にも同じように血管新生が起こります。

これによって、脳への血流量が増加することで、認知機能の改善、もしくは認知症の予防へと繋がるというわけです。



有酸素運動は最強ですね。




有酸素運動はうつ病を改善する!

有酸素運動は精神疾患の代表格であるうつ病をも改善します。


うつ病は自覚症状がなく、さらに周囲からも気づかれにくい病気です。

しかし、その数は糖尿病やがんより多く、
現在日本では最も患者数が多い疾患となっています。

2013年より5大疾病(がん、脳卒中、心筋梗塞、糖尿病)に位置づけれられています。


そんなうつ病は、治療としては抗うつ薬による治療が最優先とされていますが、実は運動でも抗うつ薬と同等の改善が見込まれることが明らかとなっています。


ただし、ひとりで行えないことの方が多いので、
付き添いの人が必要となるか、
精神的に参ったな、と感じたら気分転換に有酸素運動をするような習慣をつけておくことが肝要であると言えます。


特に、在宅ワーク、オンライン授業が一般化している現在では、さらにうつ病が申告する恐れがあるので、早い対策が必要です!

【関連記事】テレワーク・オンライン授業によって増加する病気一覧がヤバい件。





有酸素運動の効果はがんを予防できる!

これは相当インパクトのある内容ですが、有酸素運動にはがんの予防効果もありそうです。


有酸素運動の習慣の指標とされる全身持久力が高い人ほどがんによる死亡率やがんへの罹患が少ないことが明らかとなっています。

そのリスク比は0.55倍。
かなりざっくり言うと
持久力が高ければおよそ50%の罹患リスクが低減できる可能性があると言えるのです。


メカニズムはこれから全貌が明らかになっていくと思いますが、
この事実は世界中で確認されており、
がんへの対処として有酸素運動ほどコストパフォーマンスの高いメソッドは存在しないと考えられます。






全身持久力は健康の総合的指標

有酸素運動の効果はメリットだらけ!健康診断を乗り切れ!【生活習慣病予防】

これまで有酸素運動の効果について紹介してきました。

有酸素運動は消化したとおり、健康を促進することが可能である、最も安い手段と言えます。

これを逆手に取れば、有酸素運動による全身持久力の向上は健康の指標と言い換えることが出来るのです。


つまり、健康診断で生活習慣病のチェックをするだけでなく、
全身持久力の測定も同時に行うことがひとつ重要です。


逆に、年1回の健康診断だけでなく、
体力測定だけでも近郊で受けてみて身体の状態を把握することも重要です。


全身持久力が過去よりも落ちた、と実感するくらいであれば、
疾患のリスクが高まっていると考えられるので早急な対策が必要です。



【関連記事】運動以外で消費カロリーを増やすたった2つの方法と考え方

【関連記事】無酸素運動と有酸素運動の違い【効率的なダイエット】


 

有酸素運動の効果的な実施方法は?

有酸素運動の効果的な実施方法は?

「有酸素運動と言っても走ればいいの?散歩でもいいの?他に何かトレーニングが必要?」

有酸素運動の効果的な実施方法についてはこれまで多くの研究がされています。

そして今現在もあらたな知見が公表されています。

そこでこの章では実際にどういった有酸素運動が健康への効果が大きいかを紹介していきます。

 

1日1万歩歩こう

1日1万歩歩こう

このメッセージは最も簡潔でわかりやすい表現です。

10,000歩は目指しやすく、キリが良い数字です。

今日まで幾多の研究で10,000歩/日を歩けば体重減少や、体型の変化コレステロール値への恩恵が生じることが明らかとなっています。

「運動習慣が普段からない人」

こういった方にとってはまずは目指すべき目標と言えます。

とはいえ、1万歩歩いているからといって体力がつくわけではありません

体力が高い=健康の指

コレを目指すためには1万歩/日だけでは十分ではない可能性があることを心得ておきましょう。

 

 

自転車通勤(通学)に変えてみよう

「通勤で歩いているから大丈夫だよ〜」

という方がおられるかとおもいますが、徒歩通勤より自転車通勤の方が圧倒的に健康への利益は大です。

(車(マイカー)通勤と比べて、の話です)

システマティックレビュー

マイカー通勤者と比較し、死亡率

  • 徒歩通勤で13%減
  • 自転車通勤で21%減

心疾患死亡率

  • 徒歩通勤で26%減
  • 自転車通勤で33%減

という結果が報告されています。

つまり通勤時間を使って歩いているだけでも効果は十分ありますが、自転車通勤の方がその恩恵は大きいようです。


メカニズムとして考えられているのは、

  • 徒歩通勤➡積極的選択
  • 自転車通勤➡積極的選択

といった違いがあるからと言われています。
(自分の意思で選択する自転車通勤と、ただ通勤する徒歩通勤ではメンタルヘルス的にも差異が大きいということ)

加えて自転車通勤では大筋群(太ももなど)を優先的に利用する運動様式であることが、糖代謝を促進している可能性が大きいというコトも考えられています。

とはいえメカニズムが未だに不明ではありますが、事実は事実。

自転車通勤には桁違いの健康効果があることには違いないでしょう。


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インターバル速歩は最も効果的

ただ歩くだけ、なら早歩きとゆっくり歩きを交互に行う「インターバル速歩」を取り入れてみてはどうでしょうか?

実はこの「インターバル速歩」に関する研究は日本の松本市、信州大学が世界の最先端を行っている分野なんです。

先日国際誌に発表された内容は以下の通り。

インターバル速歩の効果

平均65歳の中高齢者に5ヶ月間、週4日実施。

  • 全身持久力(最大酸素摂取量)の向上
  • 生活習慣病マーカーの改善

という結果が報告されています。

もちろんこの差は実験開始前と比較もしていますし、ゆっくり歩いたことが多いグループとも比較しています。

つまり。

ただ歩くよりちょっとキツい運動を短時間でも繰り返すコトが、中高齢者でも体力は向上するし、コレステロールや血糖値の改善が多くみられるというわけ。

というわけで以下のことを明日から意識してやってみましょう。

明日からできること

  • 1万歩歩く
  • 自転車通勤に変える
  • インターバル速歩を取り入れる

 

 

 

参考文献

・Kodama S, Saito K, Tanaka S, Maki M, Yachi Y, Asumi M, Sugawara A, Totsuka K, Shimano H, Ohashi Y, Yamada N, Sone H. Cardiorespiratory fitness as a quantitative predictor of all-cause mortality and cardiovascular events in healthy men and women: a meta-analysis. JAMA. 2009 May 20;301(19):2024-35. doi: 10.1001/jama.2009.681.

・Tarp J, Støle AP, Blond K, Grøntved A. Cardiorespiratory fitness, muscular strength and risk of type 2 diabetes: a systematic review and meta-analysis. Diabetologia. 2019 Jul;62(7):1129-1142. doi: 10.1007/s00125-019-4867-4. Epub 2019 Apr 23.

・Lin X, Zhang X, Guo J, Roberts CK, McKenzie S, Wu WC, Liu S, Song Y. Effects of Exercise Training on Cardiorespiratory Fitness and Biomarkers of Cardiometabolic Health: A Systematic Review and Meta-Analysis of Randomized Controlled Trials. J Am Heart Assoc. 2015 Jun 26;4(7):e002014. doi: 10.1161/JAHA.115.002014.

・Cornelissen VA, Smart NA. Exercise training for blood pressure: a systematic review and meta-analysis. J Am Heart Assoc. 2013 Feb 1;2(1):e004473. doi: 10.1161/JAHA.112.004473.

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・Schmid D, Leitzmann MF. Cardiorespiratory fitness as predictor of cancer mortality: a systematic review and meta-analysis. Ann Oncol. 2015 Feb;26(2):272-8. doi: 10.1093/annonc/mdu250. Epub 2014 Jul 9.

・Tudor-Locke C, Bassett DR Jr. How many steps/day are enough? Preliminary pedometer indices for public health. Sports Med. 2004;34(1):1-8. doi: 10.2165/00007256-200434010-00001. PMID: 14715035.

・Dutheil F, Pélangeon S, Duclos M, Vorilhon P, Mermillod M, Baker JS, Pereira B, Navel V. Protective Effect on Mortality of Active Commuting to Work: A Systematic Review and Meta-analysis. Sports Med. 2020 Dec;50(12):2237-2250. doi: 10.1007/s40279-020-01354-0. Erratum in: Sports Med. 2020 Oct 26;: PMID: 33034873.

・Masuki S, Morikawa M, Nose H. High-Intensity Walking Time Is a Key Determinant to Increase Physical Fitness and Improve Health Outcomes After Interval Walking Training in Middle-Aged and Older People. Mayo Clin Proc. 2019 Dec;94(12):2415-2426. doi: 10.1016/j.mayocp.2019.04.039. Epub 2019 Aug 30. PMID: 31477320.

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