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「朝食を抜くと太る」はウソ!?

我々人間が、「1日3食」食べる習慣をつけたのは江戸時代にあたる1700年以降と言われています。もともとは2食の生活を営んでいましたが、流通の発展と産業の発展からエネルギー摂取の必要性が生まれてきました。さらに、菜種行灯も街中に浸透したことから、日が暮れたら就寝していた時代より生活活動時間が遙かに長くなりました。
5時間程度の間隔で食事をすることが最も合理的だという考えは江戸時代に構築され、以来300年間我々日本人はその生活スタイルに浸透していきました。

朝の8時頃から仕事や学校が始まることから、朝ご飯の重要性がまことしやかに叫ばれてきました。そんなか、貴重な睡眠時間を確保するために、朝ご飯を欠くこともしばしば見かけるようになってきました。

朝食を抜くと太りやすい?

そんな疑問に答えていきます。


本稿を読めば、

①朝食を抜くと太る?

②朝食を抜くと太る理由

について詳しくなれます。



朝食を抜くと太る!?の真実とは

朝食を抜くと太るかどうかについての議論は、長くそして、波紋を呼ぶことが多々ありました。



朝食を抜いても1日の総摂取カロリーが、消費カロリーを下回っていれば痩せるんじゃね?

これはある意味では正解です。
確かに、人の身体は常に代謝回転をしています。タンパク質も糖質も脂質も。。。体を組成する成分が不足すれば痩せるし、余剰に摂取すればそれが体脂肪となって結果として太るし・・・
理解する上では最も簡便な理論と言えます。

しかし、人の身体をよく理解すると、補足事項も存在します。
その補足事項がまさに「朝食抜きが太る理由」に繋がります。


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朝食を抜くと肥満になるリスクが上がる

世界的に肥満が社会問題化しているなか、朝食を抜くことと肥満との関連を調べた研究は多数報告されています。そして、それらをまとめられたシステマティックレビューおよびメタ解析もまた存在します。

中国の研究チームが「朝食の欠食と肥満の関連」をまとめました。

課題:
朝食を抜くことと肥満の関連には様々な議論があり、一致した見解がない。

方法:
9本の同様の論文を集めて、データを統合し、再解析。

結果:
朝食を抜く頻度が多い・・・肥満になるリスクが1.45倍上昇する!

結果は一目瞭然、朝ご飯を食べないだけで肥満になる可能性が1.45倍に上がることが明らかになりました。つまり、欠食してダイエットしようなんざ逆効果であることがここから明らかになりました。



朝食を抜くことの弊害

Photo by Ellieelien on Unsplash
Photo by Ellieelien on Unsplash

朝食を抜くことで太りやすい体質になる原因は明らかになりつつあります。なぜ朝食を抜くと太りやすくなるのかについて説明していきます。


食欲が増す

「食欲が増す」とだけ聞くと、なんだかいいイメージに聞こえがちですが、その陰で、その日の総摂取カロリーが普段より増加する可能性があるという衝撃的な事実があります。


晩ご飯から、次の食事(朝ご飯)までの間、胃にはなにもない状態が続きます。空腹時の状態では胃から成長ホルモン分泌促進ペプチドであるグレリン (Ghrelin)が産生されます。グレリンは空腹時に分泌亢進され、摂食で抑制されるはたきを持ちます。肥満になってしまうと、グレリンの分泌が低下し、成長ホルモンが分泌されづらくなります。その結果として心臓疾患の罹患や糖尿病罹患に繋がることも、近年の研究で明らかになりつつあります。


朝食を抜くことでカロリーコントロールできていると思いきや、まさかカロリーオーバーに繋がるなんて想像もしがたい事実です。



インスリン感受性の低下

晩ご飯を食べてから絶食の時間(食べていない時間)が長くなると、インスリン感受性の低下を引き起こす可能性が示唆されています。
インスリン感受性とは、一般的に食事をしたときに膵臓から分泌されるインスリンが糖質を吸収しようとする、その働きのことを指します。つまり、インスリン感受性の低いと、糖尿病や脂質異常症、そして肥満になる可能性が既に研究で明らかになっています。インスリン感受性を低下させない(インスリン抵抗性を改善する)ような生活習慣を心がけることは、何の損もありません。



午前中の活動量が減少する

朝食をしっかり食べることで、エネルギーの獲得と共に、脳の活性化が起こり、午前中に活動する時間と強度が増加する可能性が示唆されています。
その一方で、前述したように、朝食で摂ることができなかったエネルギーをその後の食事で代償的に摂取する、さらには1日の推奨量を超えてしまうこともありようです。



時計遺伝子の混乱

時計遺伝子とはなんぞや・・と。
時計遺伝子とは我々の体内が持つ、いわゆる「体内時計」のことです。我々哺乳類は、体内時計に則って生活しています。概日リズム(サーカディアンリズム)と呼ばれ、1日の中で血圧、脈拍などを全てコントロールできるようになっています。
朝食は、そのサーカディアンリズム(時計遺伝子)を整えるスイッチの一つであると言いきるここができます。この時計遺伝子の働きは食後の血中グルコース濃度を調整する働きを持ちますが、朝食を食べないことで、様々な弊害生まれます。

朝食を抜いた日のランチもしくは晩ご飯後の血中グルコース濃度は上昇しやすく、GLP-1濃度が低くなることが明らかになっています。
GLP-1は食事によって小腸から分泌されるホルモンであり、血中のグルコースを取り込むインスリンの分泌促進に働くホルモンです。
GLP-1が低下した状態では、糖質(血中グルコース)はエネルギーとして使われることがないため、糖尿病罹患リスクおよび、肥満へ繋がることが明らかとなっています。

※欧米ではGLP-1を肥満治療として承認されているようです。日本では糖尿病患者に対して保険適応のある薬剤を提供しているようです。

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時計遺伝子の乱れはストレスホルモン(コルチゾール)の分泌促進にも影響していると言われます。コルチゾール自体は生体を維持する上で必須なホルモンですが、ストレスを受けたときに分泌が増加するホルモンとして有名です。
コルチゾールが増加すると生活習慣病の他、うつ病などの精神疾患に繋がることも報告されています。







まとめ

朝食を抜くと、

○太りやすい体質となる!

○肥満のみならず、生活習慣病のリスクが上がる!

○時計遺伝子が乱れ、精神疾患に繋がる恐れがある!

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