こういった疑問にお答えします。
新卒就活に困ったり、または日本の科学技術の発展に貢献したいという純粋な思いを持っていたり(ごく僅かだろう)、大学院に憧れを持っている人が大変多いのではないでしょうか?
大学院に進学しても就職ができなかったり、高学歴プアと呼ばれる貧困層の仲間入りをしてしまったり・・・
いろいろな不安がつきまといますね。
そこでこの記事では「大学院に進学することで就職・就活が有利になるのか」について掘り下げていきます。
この記事を最後まで読めば大学院生は思い切って研究に集中できる上、就活も学部生よりも簡単に上位の企業へ行くこともできることが分かるはずです。
この記事の筆者
現役大学教員。
大学院時代に同期と一緒に自身も民間企業への就職活動を実施。
そこで得られた大学院生の就活の実際を学生に伝えている。
目次
大学院生は就活に有利に働く、5つの理由
はっきり言って、大学院生の就活は学部生(新卒)の就活と比べたら遥かにアドバンテージを持って進めることが可能です。
つまり、大学院生の就活は有利です。
その理由はこれです。
大学院生が就活に有利な理由
- 専門性が身についている
- 英語論文が読める(文献検索がデキる)
- ロジカル思考が身についている
- 文章が書ける(ライティングスキルがある)
- プレゼンテーション能力が高い
順番に説明しますね。
専門性が身についている
ほぼその通り。
もし○○を専攻したら・・・
- 経営学を専攻したら・・・経営の専門家
- 物理学を専攻したら・・・物理学の専門家
- 経済学を専攻したら・・・経済の専門家
- 医学を専攻したら・・・医学の専門家
- 金融工学を専攻したら・・・金融の専門家 など
(無限にあります)
大学院に行くと言うことは幅広い知識教養を身につけた大学生が、ある特定の分野をより深め領域全体を発展させることを担うことになります。
つまり、その分野の専門家となれるわけです。
専門性は働き始めてからでもその分野に十数年もいれば身につくはずです。
でも時間が非常にかかりますよね?
その点で、企業からしたら専門性のある大学院生は即戦力として採用に躍起になっているのです。
英語論文が読める
英語は世界共通言語です。
英語の文章が読める、それだけで十分強力な武器になります。
さらに大学院生が優れているのはその先の話。
注意
英語が読める ≠ 英語論文が読める
英語が分かるから英語で書かれた専門的な文章も理解出来ると言うわけではありません。
先日とある市議会議員がとんでも誤訳をしてプチ炎上してたのでリンクを貼っておきます。
コロナワクチンが体内で生成するスパイクタンパク質そのものが毒性を持つ可能性があることを証明した論文がありました。
SARS-CoV-2 Spike Protein Impairs Endothelial Function via Downregulation of ACE 2https://t.co/9scNhGGBh2
— 朝霞市議員外山まき (@ToyamaMaki) July 22, 2021
この方の場合、そもそも英語を読めていないのがまずいのですが。
こんな感じで一般人が論文を読もうと思っても、訓練されていない限り誤訳を簡単にしてしまいます。
その点、大学院生はイヤと言うほど英語の論文を読まされますよね?
この訓練は間違いなくグローバル化を推し進める企業にとって必要なスキルであることは間違いないでしょう。
【関連】【辛い】大学院生なら英語ができないと恥ずかしい思いをする・・・
ロジカル思考が身についている
ロジカル思考、つまり論理的な思考です。
ロジカルシンキングとは
- 主張と根拠に一貫性がある
- 因果関係を捉えることができる
- 未知のバイアスを理解出来る など
例えばこんな感じ。
例
- 店内でのタバコは全て禁止すべきだ(主張)
- なぜならタバコには有害物質が含まれていたり、嫌煙家にも影響を与えかねないからである(根拠)
- タバコの中にはAという物質が含まれており、これは人体に多大なダメージを与える(根拠A)
- またタバコアレルギーの人も同席する可能性のある店内でタバコを吸うことは不特定多数の健康障害を起こしかねない(根拠B)
- したがって、店内でのタバコは禁止にすべきだ(主張)
このような過程は研究をすすめる上で必要不可欠な作業。
論文を書く上で論理の破綻は最も気を遣う部分です。
ロジカルシンキングは特にコンサルティングの分野で発展しており、大学院生を即戦力としてねらうコンサルティングファームが実際に多くいます。
文章が書ける
確かに大学生はレポートをたくさん書いてきているのである程度の文章力は身についていると錯覚するでしょう。
しかし、実際に大学生のレポートを添削して思うことは全体の1割程度の学生しか魅力的な文章を書けません。
その点、大学院生は大学生時代の下積みに加えて専門的な用語を交えた申請書や論文を書くことが仕事であり、必然的に鍛えられていきます。
端から見ても学部生と大学院生の文章力の差は明らか。
未来永劫、文章は決して潰えることのない文化です。
企業に入る前に高められた大学院生はまさしく即戦力として採用されます。
プレゼンテーション能力が高い
プレゼンは社内コンペや提案、相談などありとあらゆる場面で使われます。
プレゼンのわかりやすさはその従業員の能力に比例するとも言われ、特に広告代理店や保険、商社に勤める人達のプレゼンには惚れ惚れするほど。
大学時代を思い返してみるとほぼほぼプレゼンなんてしたことありませんよね。
逆に大学院生は毎週のように研究の進捗や研究発表のためにプレゼンをする機会に恵まれます。
正直な話、プレゼンテーション能力は経験に比例します。
優秀な従業員はものすごい量のプレゼンを経験している、もしくは練習をしています。
大学院生は自分の仕事をこなすだけで自ずとプレゼンテーション能力が高まっていきます。
【関連】大学院生におすすめしたい研究・プレゼン・統計本7選【東大社会人博士が教えます】
以上のことをまとめますと大学院生が就活に有利な理由は明確ですね。
大学院生のココがすごい
- 特定の分野の専門家である
- 英語論文を理解出来る(最新の叡智にたどり着ける)
- ロジカルシンキングができる
- 魅力的な文章が書ける
- 高いプレゼンテーション能力を有する
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大学院生が好まれる業界・業種は?
これまで企業が大学院生を欲する理由を紹介してきましたが、実際にどのような分野で大学院生が活きるのかを解説していきます。
次に挙げる業種は実際に大学院生を対象とした説明会を多く実施する企業です。
大学院生を欲する企業
- メーカー(製薬・電子機器・化学・自動車など)
- 外資系IT企業(GAFAM)
- 外資系金融業
- 外資系コンサルティングファーム
順に紹介していきます。
メーカー(製薬・電子機器・化学・自動車など)
メーカーからの求人はめちゃくちゃ多いです。
例えば、
メーカー例
- トヨタ自動車
- 富士フイルム
- 三菱ケミカル
- 富士通
- 塩野義製薬
- 武田薬品工業
- マツダ
- 日産
- 富士重工業 など
主だったところでいうと日系の大企業ばかりです。
大学院生の専門性を活かせる分野の企業が多く集まる印象です。
実際多くのOBが各企業で活躍されているのが各要因かなと。
外資系IT企業
一方で、大学院に直接スカウトしに来ることは稀ですが外資系巨大IT企業も大学院生の採用を積極的に行っています。
例えば
- Amazon
- Apple
- Microsoft
超高額収入が期待できる大企業ですよね。
エンジニアなど専門職を募集していることもありますし、全く専門性を必要としない分野も募集が多く出ています。
強いて言えば、これらの外資系IT企業は高い英語レベルを条件として要求しています。
大学院生であっても厳しい戦いになることは間違いないでしょう。
外資系金融業(保険・銀行など)
東大生・京大生・慶応大生に最も人気のある業種。
例えば
- ゴールドマンサックス
- JPモルガン
- モルガンスタンレー
- シティバンク
- メリルリンチ(バンクオブアメリカ)
- バークレイズ
- クレディスイス
- プルデンシャル生命保険
- AIG
- メットライフ生命
- チューリッヒ生命 等
皆さんなら聞いたことあるような企業ですよね。
もちろん全て銀行ではなく、
- 投資銀行
- 証券会社
- クレジットカード
- 生命保険
など金融にも特色があります。
いずれも20代で1,000万を稼ぐ若手はゴロゴロ出てくるという事実。
高いコミュニケーションスキル、英語でのコミュニケーション、相場観などを養えば誰にでもチャンスはあります。
分野に関係なく大学院生が多く就活先としてリストアップしている業界の1つですね。
外資系コンサルティングファーム
コンサルティングファームも東大・京大・早慶大から根強い人気のある業種。
今では志願者は圧倒的No.1との呼び声も。
志願理由の多くは激務と引き換えに数年で数千万円を稼げるから。
夢が多く詰まった業界の1つです。
例えば
- マッキンゼーアンドカンパニー
- ローランドベルガー
- ボストンコンサルティング
- ベインアンドカンパニー
- アクセンチュア
- ATカーニー など
コンサルティングファームの特徴としてはロジカルに顧客の課題を解決に導くこと。
このことからコンサルティングファームは大学院生を積極的に採用しています。
実際に私が大学院生限定の説明会に参加したときも、上記のコンサルティングファームが参加していたし、同じ博士号を持つ友人も現在上にあるコンサルティングファームのどこかで活躍しています。
ここまで挙げた中では、大学院生にとってコンサルティングファームは最も適した業種と言ってもよいでしょう。
大学院生という身分が有利に働く就活サイトも実際に存在しています。
下記にまとめてありますので是非ご参照ください。
【あわせて読みたい】大学院生が登録すべき就活サイトTOP3【ハズレ無し】
まとめ:大学院生は就活に有利。コンサルがオススメ。
結論として大学院生は就活に有利に働くことは間違いありません。
中でもコンサルティングファームは大学院生の経験を存分に活かせる業種であるとも言えます。
その根拠は以下の通り。
大学院生が就活で有利になる理由
- 特定の分野の専門家である
- 英語論文を理解出来る(最新の叡智にたどり着ける)
- ロジカルシンキングができる
- 魅力的な文章が書ける
- 高いプレゼンテーション能力を有する
以上の理由から大学院生は思いっきり就活に励んでもいいと言えます。
また、大学4年で上手くいかずに大学院に進学する、また学歴ロンダリングと言われるレベルの高い大学院に進学するといった選択も間違いなく就活を有利にすすめることになるでしょう。
以下の記事を参考にしてみてください。
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