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大学生のための意思決定の教科書|ファストアンドスロー

こんにちは。自宅ダイエット(@jitakudiet)Tです。


早速ですが、以下の問題にトライしてみてください。

大学生の皆さんなら容易に解けますよね?


問題
たかしくんは鉛筆とノートを持っています。
鉛筆とノートは合計で1100円だそうです。
鉛筆はノートより1000円高いそうです。
それでは、ノートはいくらですか?


たかしくんはなかなかいい鉛筆とノートを持っているようですね。
見た瞬間に答えが出ましたでしょうか?
簡単ですね。


そう正解は、
100円、ではないですね。

どうしてでしょうか?
簡単に解説します。


もし、ノートが100円だとしたら
1000円高い鉛筆は1100円となります。
そうすると、合計で1200円となりますね。
となると、正解は50円、が正答となります。

ノート:50円
鉛筆:1050円
合計:1100円

この問題は実は正答率が非常に低い問題です。
実際に、アイビーリーグ(ハーバードやコロンビア大学を含む8つの私学)
の学生に解かせると4割以上の学生が誤答してしまうそうです。
なぜこんなことが起きてしまうのか。
非常に単純で、
そして奥深い思考システムが人間の脳には潜んでいるのです。

意思決定における早い思考と遅い思考


人間には大別して2つの思考経路があるといわれています。
早い思考先ほどの問題で100円!と答えてしまった方。
あなたの頭の中では1000円と1100円という2つの数字から
直感的に100円という答えを導き出しました。


この早い思考の構成には
主に経験が多分に含まれており、
その経験をもとに直感的で結論を導く思考経路です。


例えば、
・空を見上げて雲の様子から雨が降るかどうかを判断する
・株価チャートを見て、(上がる方に賭け、)株を購入する

といった意思決定には直観的要素が多く含まれています。

遅い思考(論理的思考)

先ほどの問題で50円!と正答された方。
あなたはしっかりと論理的思考を駆使して
問題に向き合っている証拠となります。
よくよく考えれば50円という答えは容易に出すことができるでしょう。


このような遅い思考には
例えば、

・1207*489=?
・(人の写真を見て)物語を書きなさい

と言ったように問題を見た瞬間に答えが出せないようなときに用いています。

紛れもなく早い思考と遅い思考は
「直感的」と「論理的」思考と言い換えることができます。

意思決定の材料


さて、意思決定における人間の持つ2つのプロセス
「直感的思考」と「論理的思考」について紹介しました。
それではどうやって人はこの2つの思考を使い分けているのでしょうか。
それにはちょっとしたからくりがあったりします。

意思決定の教科書:アンカリング効果


まずはこの問題を解いてみてください。
問題:
キング牧師は120歳より長く生きたでしょうか?

この問いに対して答えを知ってる人も知らない人も
誰しもが「No (いいえ)」と答えるでしょう。
正解は、もちろん「No (いいえ)」です。

それでは次の問いにお答えください。
問題:
キング牧師は何歳で亡くなりましたか?


(答えを知っている人は無視してください。)50歳?60歳?
解説に移ります。
この問題は、あなたの論理的思考を試しているわけではなく
どのようにして意思決定をしているかを明らかにしてくれます。


この答えの平均値を算出した面白い研究があります。
解答者の答え(〇〇歳)の平均値を取ると
実際に死没した年齢(39歳)より
かなり高くなることが明らかになりました。


みなさんが導き出した答えは39歳より上でしたか?
さてこの現象はどういうことか?


実は我々の脳は何も見当がつかないものを考えるとき
近くにある数字がアンカー(重り)となって、
つまりヒントとして作用し、答えを導き出します。

先程の問題では実際に死没した年齢(39歳)とは
かけ離れたアンカー(120歳)によって
あたかも高齢で亡くなられた錯覚してしまったと言うわけです。


以上のような効果をアンカリング効果と呼びます。


意思決定のきっかけ〜アンカリング効果


アンカリング効果は街中に溢れています。


例えば、
・大特価!今なら定価39,800円→19,800円!
・(商談において、先方から)
 「今回の案件は、成功報酬500,000円/件でお願いします。」

といったようにその数字の根拠がすぐには見つからず、
あたかも適切な数字として掲げられてる場合は
間違いなくアンカリングが発生していると思ってください。

そもそも「定価」を知らない我々、
「成功報酬の単価」を知らない我々からすると、
基準となる数字、
つまりアンカーが作用してしまい予期せぬ数字へと決着してしまうわけです。

アンカリング効果はチラシや商談において多用されています。
提示されている数字に疑いを持つ習慣をつけて生活しましょう。

意思決定の教科書〜プライミング効果


プライミング効果はアンカリング効果と区別するのが難しい効果です。
えてして同じものだという識者、
またはアンカリング効果はプライミング効果の一部
という考え方もあるそうです。

それでは次の問題を解いてみてください。

問題:A
日本で亡くなる方のうちガンによる死亡割合は
30%より多いでしょうか、少ないでしょうか?

もう一つ問題を出します。

問題:B
日本で亡くなる方のうちガンによる死亡割合は
50%より多いでしょうか、少ないでしょうか?


上記問題をそれぞれ別の50人ずつに出題したとします。

問題Aを出題されたグループはだいたい30-35%と回答する一方
問題Bを出題されたグループはおおよそ45-60%と回答するそうです。
この回答の傾向はまさしく
設問上の数字に影響されているということができます。

合理的な意思決定


少しでも安く商品を買いたい。
少しでも多く得をしたい。
そういった考えは人の深層に根を下ろす心理であります。


しかし、
ヒトは必ずしも「合理的」な意思決定を下せる動物ではありません。

なぜならば、先述したとおり
ヒトは2つの思考プロセスによって意思決定をしており、
時間的な余裕を創造する「直感的」思考
つまりファストな思考を下しがちです。


合理的な意思決定をするためには
1. 「論理的」思考をする様に心がける
2. 「論理的」思考を繰り返し、 
 「直感的」思考並の判断速度を習得する

が必要となります。

まとめ


それでは最後にこの問題に取り組んでください。


問題:
あなたは非常に稀な病に侵されています。
治療に関して担当医から以下のような説明がありました。
「薬Aは統計的データから   5年後の生存率80%となります。 
 一方で、 
 薬Bは投与した5人に1人が副作用で死亡します。」


さて、あなたなら薬Aと薬B、どちらを選択しますか?


答えは簡単ですね。
これが合理的な意思決定です。

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