この記事では
・スポーツと遺伝子の関係を知りたい
・体育の結果は遺伝の影響あるの?
・自分の適したスポーツ、運動は何?
という悩みを解決するための構成となっています。
記事の信頼性
●【最終学歴】東京大学大学院 (博士)
●【競技歴】中高全国大会出場、中学県選抜、高校少年男子(県選抜主将)、IH・ウィンターカップ出場、大学1部リーグ・インカレ出場、社会人日本2位
●【経歴】中学・高校バスケ部トレーナー
●【経歴】甲子園球児ストレングス指導
●【現職】大学教員
目次
筋肉のつきやすさは遺伝子が約6割影響している【3つの遺伝子】
![筋肉のつきやすさは遺伝で6割決まる【遺伝子検査で特性を見極めるが"吉"】](https://i0.wp.com/musclelab97.com/wp/wp-content/uploads/2020/10/genetic.jpg?resize=418%2C280&ssl=1)
運動能力は約6割遺伝によって決まると言われています。
ただし、不明なことも多く残っていることもまた事実です。
オリンピック選手や、双子の研究が世界的に多く実施されており、遺伝子によって残す成績が違うかどうか、について日々議論がなされている現状です。
さて、大きく運動能力に関わる遺伝子多型は3種類あり、
現在では民間企業で手軽に検査ができます。
その3つとは
・αアクチニン3遺伝子
・ACE遺伝子
・PPARGC1A 遺伝子
です。
これらについて次から紹介していきます。
筋繊維組成が分かる【ACTN3遺伝子】
![筋肉のつきやすさは遺伝で6割決まる【遺伝子検査で特性を見極めるが"吉"】](https://i0.wp.com/musclelab97.com/wp/wp-content/uploads/2020/10/athlete-sprint.jpg?resize=402%2C268&ssl=1)
ACTN3遺伝子はもっとも研究対象として盛んに行われている遺伝子のひとつです。
ACTN3は瞬発系の種目、
例えば100m走、200m走の記録と大きく関連することが明らかとなりました。
※両親がスプリンターだからといって必ずしも
その子どもがスプリント基質があるとは言い切れません。
速筋型(RR型)
RR型の人は、筋肉を構成する筋繊維のうち、
速筋線維が多い特徴があります。
RR型の人は筋トレなどの効果がより感じられやすく、
陸上短距離や、相撲、柔道、ウエイトリフティングなど
短時間で瞬発的に力を発揮する運動種目で
成績を残せる可能性があります。
バランス型(RX型)
RX型の人は筋繊維組成のバランスが非常に均等である特徴があります。
遅筋と速筋の量が同等であることから
主に球技(バスケットボール、サッカー、テニスなど)や格闘技(ボクシングなど)、陸上・水泳中距離種目が最も適しているとされています。
遅筋型(XX型)
XX型の人は完全に遅筋線維が多いタイプです。
筋トレの効果があまり感じられない可能性があります。
ただし、より多くの回数をこなせるという点ではどの型よりも優れていると言えます。
マラソンや、陸上・水泳長距離・登山など、
長く持続できる特徴を持つ運動適性が非常に高いです。
血圧の調整をする遺伝子【ACE遺伝子】
![筋肉のつきやすさは遺伝で6割決まる【遺伝子検査で特性を見極めるが"吉"】](https://i0.wp.com/musclelab97.com/wp/wp-content/uploads/2020/10/marathon.jpg?resize=424%2C281&ssl=1)
ACE遺伝子は持久力との関連が最もある遺伝子多型です。
血圧を調整するとのことから、
酸素・栄養素の運搬能力を司る遺伝子と理解するといいかもしれません。
多くの研究がされており、
8000m級の山を踏破した者の中にはDD型(後述)がひとりもいなかった、等の報告がされています。
血管拡張型(II型)
II型は血管拡張能に優れているグループです。
すなわち、酸素・栄養素の運搬能力に優れていることから
持久系の運動にはバツグンの結果を残します。
また、疲労を感じにくい遺伝子組とも言い換えることができます。
血管拡張/収縮バランス型(ID型)
ID型はII型に次ぎ持久系種目が得意なグループです。
この遺伝子を持つ人も持久系の種目で圧倒的な強さを発揮します。
持久系トレーニングの効果が最も感じられやすい集団です。
血管収縮型(DD型)
DD型の人は持続した酸素・栄養素の運搬能より
瞬発的な酸素・栄養素の運搬能に長けています。
すなわち、持久系の種目は結果が残せないが、
瞬発系の種目を得意とし、
筋トレの効果などが出やすい可能性を秘めています。
持久能力を示す指標ミトコンドリア生合成を制御する遺伝子【PPARGC1A 遺伝子】
![筋肉のつきやすさは遺伝で6割決まる【遺伝子検査で特性を見極めるが"吉"】](https://i0.wp.com/musclelab97.com/wp/wp-content/uploads/2020/10/olympic-swimmer.jpg?resize=411%2C275&ssl=1)
ミトコンドリアは
体内で使用するエネルギーを作り出す細胞(工場)です。
特にミトコンドリアの能力は持久系の能力に強く関連することが分かっています。
そのため、ミトコンドリアの生合成に関与する
PPARGC1A 遺伝子を検査することで、ミトコンドリア量を推定することができます。
ミトコンドリア増殖型(GG型)
GG型はミトコンドリアの増殖に最も長けたグループです。
そのためエネルギー産生能力が最も高く、
長時間運動することが比較的余裕に行えます。
ミトコンドリア標準増殖型(GS型)
GS型はミトコンドリアの増殖に関しては普通です。
GG型と比べると劣りますが、
長時間の運動は比較的楽に行えるグループです。
ミトコンドリア低増殖型(SS型)
SS型はミトコンドリアが増殖しづらいグループです。
そのため、エネルギー産生能力に乏しく、
長時間の運動には向いてはいません。
遺伝子によってトレーニング効果にばらつきが生じる
![筋肉のつきやすさは遺伝で6割決まる【遺伝子検査で特性を見極めるが"吉"】](https://i0.wp.com/musclelab97.com/wp/wp-content/uploads/2020/10/body-building.jpg?resize=425%2C282&ssl=1)
これまで説明してきたように、
我々は生まれ持った遺伝子によってその特徴がある程度決まっています。
くわえて、遺伝子の種類に適した運動が存在することもまた然りです。
・競技力を上げたい
・運動で名を残したい
・効率よく効果が感じられる運動を知りたい
こういった悩みがあるなら、
一度簡易遺伝子検査を行うのも手かもしれません。
最適な運動を見つけるには簡易遺伝子検査
簡易遺伝子検査のハードルはとても低い状態です。
その背景には
・研究数が圧倒的に増えた
・技術の革新
・民間サービスの提供
などが考えられます。
それに伴い、提供する価格帯も
非常に抑えられて行うことが可能となっているわけです。
また、検査自体のハードルも
・頬の粘膜を綿棒でこするだけ
で行えることから、
・子どもでも簡単に行える事に加え、
・わざわざ病院に行かなくても検査が可能
となっている点も普及している背景と言えます。
遺伝子検査についてご興味をお持ちの方は
↓是非こちらからご覧ください。↓
多くの子どもも行っている遺伝子検査
スポーツ選手の活躍がめまぐるしく報道され、
それに感化された親御さんは
子どもの将来を案じ、遺伝子検査を受けられている方が非常に多いです。
それもそのはず、
遺伝子検査で分かることは
その子どもが向いている『競技特性』。
限られた子どもという時間を有効に使わせてあげるためにも
遺伝子検査という手段は
使っておきたいカードの一枚ではないでしょうか?
口腔粘膜でスポーツ遺伝子を調べる【DNA EXERCISE】
まとめ:遺伝子検査でトレーニング方法、メニューを変えましょう。
遺伝子は自分の"運命"を決めるものではありません。
あくまでその"方向"へと誘うだけで、
6割が遺伝といわれている、残りの4割は自分の行動によって決定されます。
「こういう遺伝だから〜」と諦めるのではなく、
「この遺伝だからこのトレーニング方法を見直そう」
というような発想に持って行けることが
最も重要な感性であると言えます。
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