牛乳は日本の給食には欠かせない飲み物として定着しています。その歴史は第二次世界大戦後のユニセフからの支援物資に遡ると言います。
牛乳や乳製品の常用は日本のみならず畜産大国アメリカをはじめ、ヨーグルトの名産ブルガリアなど世界的に浸透している習慣です。
しかし、牛乳および乳製品の摂取は健康へ悪影響を与える可能性が示唆されてきました。
本稿では、
①牛乳と健康の関係
②乳製品はカラダにいい!
について詳しくなれます。
牛乳はカラダに悪い
牛乳は牛が子を育てる為に与えるもの=母乳であるため栄養価は非常に高い食品です。牛乳と言えば真っ先にカルシウムを連想しますが、そのほかにもたんぱく質、脂質、炭水化物、ミネラル、ビタミンなどバランス良く栄養が含まれています。そのため戦後日本では食糧不足から栄養不足による被害を食い止めるためにユニセフから牛乳の支援を申し出た過去があります。
しかし、2017年スウェーデンの研究チームがアメリカの栄養学会誌に衝撃的な研究結果を報告しました。
牛乳およびバターの摂取は高い死亡率に繋がる可能性あり!
一方で、
発酵乳およびチーズの摂取は低い死亡率と関連する!
この研究はスウェーデン人およそ10万人を約13年間追跡して行ったエビデンスレベルの高い研究です。
牛乳およびバターと発酵乳(チーズ)の大きな差は乳酸菌にある可能性が示唆さされています。乳酸菌の働きはまだ全て解明されていないため、その効果は想像の範囲で説明するしかありませんが、腸内細菌の活動を支援してくれていることが、寿命と繋がるとも言えます。
以上のような結果は、チーズ食よりも牛乳の飲用文化が根付いてる日本において、非常に衝撃的なニュースとなりました。
牛乳はカラダにいい!
牛乳の健康問題については1990年代後半から議論が巻き起こり、
これまで一貫した結論がされていないのが現状です。
先ほど紹介したように、栄養価は非常に高い飲み物ですが
牛乳は死亡率と密接に関連すると報告する研究もあったりします。
①2015年に報告されたスウェーデンの研究チームが12本の論文結果をまとめたレビュー論文、
②2016年にイギリスの研究チームが報告した29本の論文結果をまとめたレビュー論文、いずれも
牛乳と死亡率には一貫した結果がない
ということを結論として述べています。
加えて、
発酵乳の摂取は低い死亡率および心臓疾患と関連する
つまり、牛乳はやはりヒトが飲むものではない・・・?
ただそれを、加工(発酵)することで、牛乳の持つ高い栄養価を吸収する能力を高めることができるのではないか、と言うことです。
牛乳の持つ成分
牛乳は、同じ哺乳類の母乳であるため非常に高い栄養価を兼ね備えています。
食品標準成分表をご覧いただければおわかりになりますがヒトが必要な栄養素をほとんど網羅していると言っても過言ではありません。
効果的な牛乳摂取方法
必要な栄養素を備えているものの、摂り過ぎると死亡率との関連があることから、効果的に摂取する方法を見出さなくてはいけません。
なかでも、欠いてはいけない要素として
●カルシウム
●タンパク質
●ビタミン
●発酵
上記の条件を満たす牛乳からできるものと言えば、チーズもしくはヨーグルトしかありません。
牛乳に含まれる糖質は乳糖と呼ばれ、人間の胃では分解できない成分となっています。そのため、牛乳を飲むとお腹を下すのは、分解されない乳糖が異物と認識された生理現象、と理解しておく方が無難と言えます。
お腹を下すリスクも考慮しながら
ヨーグルトやチーズの常用が健康的かつ効果的に摂取するうえで重要なツールとなるのではないでしょうか。
まとめ
○牛乳の摂取は死亡率と関連する、可能性が高い
○発酵乳製品がおすすめ!(チーズ、ヨーグルト)
引用文献
Tongon et al. Am J Clin Nutr 2017;105:1502–11. Nonfermented milk and other dairy products: associations with all-cause mortality
Larsson et al. Nutrients 2015, 7, 7749-7763. Milk Consumption and Mortality from All Causes, Cardiovascular Disease, and Cancer: A Systematic Review and Meta-Analysis
Guo et al. Eur J Epidemiol (2017) 32:269–287. Milk and dairy consumption and risk of cardiovascular diseases and all-cause mortality: dose–response meta-analysis of prospective cohort studies