どうもこんにちは!さて早速ですが、タイトルの通りみなさんは【有酸素運動】と【無酸素運動】の違いを正確にご存知でしょうか?
この健康に関する分野のブログ記事などはたくさん書かれておりますが、中にはちょっとちょっと!!といいたくなるような内容の記事もたくさん見受けられます。
これらの違いを正確に知っておくと、効率的なダイエットに非常に役立ちます。今一度、その知識をロンダリングしてください。
目次
ヒトを動かすエネルギー
そもそも、ヒトは体を動かすためにエネルギーをたくさん産生し、消費しながら生活しています。
では、そのエネルギーって何なのでしょうか?
答えは、ATPと呼ばれるエネルギー分子です。
ATP(Adenosine tri-phosphate)アデノシン三リン酸とは
ATPとは、すべての植物、動物および微生物の細胞内に存在するエネルギ分子です。ATPは、細胞の増殖、筋肉の収縮、植物の光合成、菌類の呼吸および酵母菌の発酵などの代謝過程にエネルギを供給するためにすべての生物が使用する化合物です。食物、細菌、かび、その他の微生物を含むすべての有機物(生物または生物の痕跡)にはATPが含まれています。したがって、表面上や洗浄後の水でATPが検出されることは、肉眼では見ることができない微生物汚染または微生物の増殖を促進する可能性がある生物学的物質(食物残渣など)の存在を意味します。
出典:NITTA
って説明されてもわかりづらいですね。
「糖質ってエネルギーじゃないの?」 と疑問をお持ちの方、今から説明します。
ここではまず、エネルギー≒ATP という認識でOKです!
ATPを生み出す3つのエネルギー供給機構
ヒトにはATPを生み出す回路が大きく分けて3つ備わっています。そしてその3つをうまく使い分けながら日常生活行動を営んでいます。
1.ATP-PCr系(ATP-CP系)
ATPは体内に少量しか蓄積されていません。そのため激しい運動が長時間持続できない理由のひとつとなっています。この機構は、体内に貯蔵されているクレアチンリン酸(PCr)をクレアチンとリン酸に分解し、ATPが利用され、分解されて産出したADP(アデノシン2リン酸)とリン酸が結合することによりATPを再合成する働きを持ちます。
ATP → ADP + PCr
ADP + PCr → ATP
これだけ見ると、エンドレスにATPを産生しそうに見えますが、体内に貯蔵されているクレアチンリン酸(PCr)には限りがあるため、ATPを再合成するには時間的な余裕がありません。そのため、ATP-PCr系で産出するエネルギーは最大パワー発揮時に利用され、約7~8秒程度しか持続できない特徴を持ちます。
- 高重量での筋トレ(ウエイトリフティング)
- 100m走
- ハイジャンプ
- 投擲
といった爆発的な運動はこの機構によってエネルギーが供給されています。
2.解糖系
この機構は読んで字の如く「糖質」を分解して、エネルギー(ATP)を産生する機構です。
正確には、骨格筋内に貯蔵されている「グリコーゲン」を「グルコース」に分解し、さらに「ピルビン酸」と「乳酸」まで分解されることでATPを産生しています。
解糖系におけるエネルギーの供給速度は、その過程の長さもあり、ATP-PCr系には劣ります。しかしながら、出力するエネルギーは非常に強く、30~40秒程度持続する 特徴を持ちます。
- 400m 800m走
- バスケットボール、サッカーなどのスポーツ
- 競輪
- スピードスケート
といった、息が上がり乳酸が産出される強度の運動は解糖系によりエネルギーを供給しています。
ここで抑えておきたいポイントは、「糖質」→「乳酸」の過程でATP が作られるということ。さらに重要なポイントは、ここで産生された「乳酸」はただ解糖系の副産物としてではなく、再び細胞内に取り込まれ、ATPを産生する材料となることが明らかになっています。
乳酸≠疲労物質
という点をしっかり抑えて置いてください。
乳酸はあくまでも、運動強度の指標、として使われています。
3.酸化系
3つ目の酸化系、これも読んで字の如く「酸素」を介してATPを産生するエネルギー供給機構です。
酸化系においてATPを産生する際に材料となるのは「糖質」と「脂肪」です。
「グリコーゲン」が「グルコース」に分解され、「ピルビン酸」にまで変換される過程までは「解糖系」と同じですが、酸化系機構においては、「ピルビン酸」が「アセチルCoA」に分解され「クエン酸回路」に運ばれ、ATPが産生されます。
一方、「脂肪」、中でも「遊離脂肪酸」は本来「脂肪細胞」に蓄積されている「中性脂肪:TG(トリグリセリド)」が酵素の作用により分解され、血液中に放出された状態のことを指します。
この「遊離脂肪酸」は「ピルビン酸」が「アセチルCoA」に変換されるように、同じく「アセチルCoA 」に変換されます。そして、同様にクエン酸回路に取り込まれていく過程でATPを産生します。
このように、酸化系は「糖質」と「脂肪」のいずれかが体内に存在する限り、エネルギーを供給し続けることのできる機構となります。
そのため、出力するエネルギーは大変弱いものの、70秒以上持続する運動においては常に働いてエネルギーを供給しています。
- 散歩
- 軽いジョギング
- サイクリング
- 水泳
などは主に酸化系のエネルギー供給を受けているといわれます。
さらに、最近では「解糖系」で産生された「乳酸」がこの酸素介在下では「ピルビン酸」に変換され、「クエン酸回路」に取り込まれATPを生み出すことが明らかとなっています。
このため、乳酸の代謝速度は持久性能力の指標として作用することが考えられています。
1~3のまとめ
非常に簡潔にまとめられた表がありましたので貼り付けます。
ごらんのように、ヒトは3つのエネルギー供給機構からATPを産生しながら生活を営んでいることがわかります。
無酸素運動とは
さてここまで、ヒトがエネルギーを生み出す3つの供給機構について紹介しました。
巷のブログや専門外の方の多くの間違いが起こるのは、「無酸素運動とは」何かという点です。
よく書かれているのは、「息を止めて行う運動、例えば筋トレとか100m走など」という文が見受けられますが、これははっきりいって大嘘です。
筋トレは、息を止めて行うと血圧上昇が顕著となり卒倒の危険があるため、呼吸を意識して行いながら動作を行うことが推奨されています。また、100m走も10秒間息を止めてヒトが走るわけもなく、必ず呼吸が行われています。
つまり、無酸素運動とは、呼吸をさすのではなく、
エネルギー(ATP) を産生する過程において、「酸素が必要ない」状態
のことを無酸素運動ということになります。
これらの運動の強度の目安としては息が上がり、「会話ができなくなる程度」というポイントがあります。
有酸素運動とは
一方、有酸素運動は、酸素が介在する運動全てを指します。そのため一般的に考えられる散歩やジョギング、水泳などの軽い運動は全てこの部類に属します。
じゃあ、脂肪燃焼を狙うなら有酸素運動だ!となるのは時期尚早です。
効率的なダイエット【脂肪燃焼】
確かに有酸素運動は脂肪をエネルギーとして利用する割合は多いといえます。確かにその通りではありますが、効率よく脂肪を燃焼させるためには、運動中のエネルギー代謝だけでなく運動後の酸素消費によるエネルギー代謝【EPOC】がとても重要になってきます。
EPOCについては以下の記事をごらんください。
効率よく脂肪をエネルギーとして利用するためにはある程度強度の高い運動をする必要があります。しかしながら、初心者の方でATP-PCr系を駆使したトレーニングをすることは極めて難易度が高くなります。
以前の記事で紹介したHIITは高強度ではあるものの、「辛うじて会話ができるか否か」の強度であるため、解糖系及び酸化系によるエネルギー供給機構によるATP産生が活発になることが考えられます。
EPOCをうまく引き出すことで脂肪代謝の効率を上げることが、最も効率的な脂肪燃焼といえるでしょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
有酸素運動と無酸素運動の違いがしっかりわかっていれば効果的な脂肪燃焼を狙ったトレーニングが計画できるはずです。
ぜひ取り入れてみてください。