こういった疑問にお答えします。
ウォーキングとランニング。
どっちが効果的なんかなんて知らずに有酸素運動を始めたって無駄ですよね。
そこで、ウォーキング対ランニング論争の実際を、しっかりとした科学的根拠(エビデンス)を以て結論を下します。
筆者は国民の健康増進を研究する大学の教員。
最新の知見をもとにお伝えしていきます。
目次
ウォーキングとランニングはどっちからすべき?
「ウォーキング」と「ランニング」はどっちからすべきか。
結論は「ランニング」です。
とはいえ、いきなりランニングからできる人はすくないはず。
その理由を解説していきます。
運動不足の人は「ウォーキング」から
ウォーキングがおすすめな人はこんな人です。
ウォーキングはこんな方におすすめ
- 直近1年で運動した記憶がほぼない
- 仕事や通勤、あわせて1万歩を超えない
- 膝・腰痛がある
- 激しい運動禁忌
人は自分の脚で歩けなくなったら終わり、とはよく言ったもので歩く習慣が少ない人は寿命が短い傾向にあります。
これはハーバード大学やペンシルベニア大学、ロンドンバス会社が1950年代および1970年代に明らかにした紛れもない事実。
走ることに恐怖を感じる人は「ウォーキング」から始めて見ましょう。
Doing some physical activity is better than doing none.
(何もしないより、少しでも動いた方が良い)(引用:WHO身体活動ガイドライン2020)
歩行習慣がない人は少しでも動いてみましょう。
普段からたくさん歩いている人は「ランニング」
私が「ウォーキング」よりおすすめするのは「ランニング」です。
「ランニング」による持久力向上には計り知れない効果があります。
詳細は下記の記事で詳しく解説していますのでご覧下さい。
「過負荷の原理」を理解しよう
ランニングが最も有効である理由の1つは「過負荷の原理」です。
過負荷の原理・・・人が強くなるためには相応の負荷をかけないと成長しない(⇄可逆性の原理)
つまりウォーキングばかりしていても体力は付かないと言うこと。
マラソン走るのにウォーキングの練習だけで走りきれるわけありませんよね?
人のカラダは負荷を与え続ければ、それが定常状態となる性質を持っています。
(例えば、持久力が高くなると心拍数が低くなる、持久力が向上すると乳酸が出づらくなるなど)
徐々にトレーニング強度を上げていくことは人間のホメオスタシス(生体恒常性)への挑戦と同時に、環境への適応という生物界を生き抜いてきた本能が備わっていることも改めて認識することができるのです。
ランニングが最も重要な2つの理由
あなた
「なんでランニングの方が重要なの?」
こういった疑問に一言でお答えすると、「持久力向上」が期待できるから。
持久力なんて中学校、高校の体力測定、持久走大会程度までの遠い記憶ではないでしょうか?
しかし、持久力を測ることは健康を測る上でメチャクチャ重要な意味があったんです。
「持久力」は最強の健康予測メソッド
持久力がどれだけ健康へ良い影響を与えているかをまとめた別の記事から抜き出します。
持久力が最強である理由
- 総死亡率を低下させる
- 2型糖尿病を予防する
- 脂質異常症を予防する
- 高血圧を予防する
- 睡眠の質を改善する
- 認知機能(認知症)を予防する
- うつ病を予防する
- ガン(ガンによる死亡)を予防する
ざっと紹介すると、高い持久力にはこれくらいの恩恵があります。
詳細は下記の記事に記しているのでご覧下さい。
こんなメリットを知ったからには「持久力」を高めたくなりますよね?
「持久力」は日頃の「身体活動」より健康への寄与が大きい
もう一つの理由。
持久力が高い人と身体活動(通勤や現在の運動)が高い人を比較した場合、持久力が高い人の方が総死亡率が低かったのです。
ただここで注意したいことがあります。
ここに注意
・持久力・・・過去の運動の蓄積
・身体活動・・・現在(調査時点)の活動量(通勤、運動、仕事含む)
つまり、「持久力」と「身体活動量」は評価しているものが違うということ。
これらのことを加味して結果をさらに解釈していくと以下のようになります。
ココがポイント
「高持久力」×「高い身体活動量」が最も健康的
確かに、今たくさん運動すること、活動することはとっても大事。
しかし、これまで続けてきた運動が多く、持久力が高い人の方が圧倒的に長生きするんです。
これを肝に銘じて今日から走りに行くべきです。
なぜ持久力が長寿に影響するのか?
実はこのメカニズムについて、詳しいところまでは明らかになっていません。
とはいえ持久力と健康に関する科学的根拠は蓄積され続けています。
我々にとって最も重要なのは、「論より証拠」。
どんなメカニズムかについて考えるよりも、持久力が大事だ、ということを理解することです。
、、、といいつつも、考えられるメカニズムについて紹介していきます。
持久力が向上する条件にあてはまる項目があります。
持久力が向上する条件
- 心臓機能の改善
- 拡張末期容積の拡大
- 心室収縮力の増加
- 後負荷の改善
- 心拍数の低下
- 末梢組織の改善
- 毛細血管密度の増加
- ミトコンドリア容量の増加
※上記に関する内容は「運動生理学」を学べば習得できます。
持久力を高めると言うことは、心臓機能を高めることおよびエネルギーの消費組織の機能改善が同時に生じることと言えます。
→血流が改善する
→血液内のクリアランスが進む。
こういったメカニズムが考えられるわけだ。」
「持久力」を高めるには何をすればいいのか?
あなた
「持久力」が重要なのは分かったから、なにをすればいいか教えて!
結論は明快。
「インターバルトレーニング」が最もおすすめです。
だらだら長い時間走るんじゃなく、とにかく緩急をつけること。
インターバルトレーニングは、実際多くの病院や高齢者施設でも行われる運動療法の1つです。
まだまだ若いあなたならインターバルトレーニングを積極的に行うことを推奨します。
インターバルトレーニングにはいろんな種類があります。
歩くより、走れ。それだけ。
歩くことが決して無駄なコトとは言いません。
人間歩いてナンボです。
ただ、最新の科学的根拠(エビデンス)から申し上げると、持久力を高めることが何よりも重要と言えるわけです。
持久力に自信がない人も、こればかりは「苦手だから」で済ませられる問題ではないんですよね。
健康にも、ダイエットにも、美容のためにも。
とにかく「走る」これが重要(いのち)です。