『疲労がたまったなぁ』と感じるときはその運動後の振る舞いで翌日の疲労感は変わってきます。本稿は疲労の原因とその対処法について紹介致します。
そもそも疲労を感じるときは
- 筋トレの直後
- 長距離(有酸素運動)の直後
- 仕事の後
- 入浴(サウナ)の後
など場面場面によってその原因となるものは様々です。そのためそれぞれに沿った疲労回復のアプローチが必要です。
今回は、運動後における疲労の回復をターゲットに説明していきます。
疲労の原因となるもの
疲労の原因となるものは大きく分けて下記に分類されます。
- 糖質の枯渇(グリコーゲンの枯渇)
- 筋肉の微損傷
- ATP-PCr系における産出物リン酸の蓄積
いずれも激しい運動に伴う筋収縮によるエネルギー消費が起こすものが原因となります。これ以外にも活性酸素や脱水など様々な要因によって疲労が起こされるとされていますが、その多くが検討段階であったり明らかになっていないものばかりです。
今回は。上記に列挙した項目について説明致します。
糖質の補給の重要性
運動後の疲労感、筋トレやランナーにおいてのみならず、万人が感じる疲労感の原因は大概『糖質(エネルギー)の枯渇』で説明ができます。
以下の記事も合わせてご覧ください。
以前の記事でも紹介したように、ヒトの最も効率的に使用できるエネルギーは『糖質(グリコーゲン)』です。
しかしながら、糖質(グリコーゲン)は体内におよそ1500~1600kcal程度しか貯蔵できません。
糖質1g=4kcalであることからおよそ400g程度の糖質しか体内には存在しないことになります。
こんな少ない糖質ですので、
運動の強度に関わらず、糖質は分解され続け、さらに強度が上がった点で一気に乳酸の産生が起こります。そのため細胞内が酸性化することで筋肉が収縮しづらくなります。いわゆる『パンプアップ』というやつです。しかしながら、その後も強度を落として運動を続けると、パンプアップはほぼ解消され、運動自体は持続させることができます。このことからも筋肉の疲労の原因は『乳酸』ができることにあるのではなく、『乳酸』産生のもととなる『糖質』が分解されきることで筋肉の収縮しづらくなると考えるほうが無難です。
もし『乳酸』が疲労物質なら、『パンプアップ』後の軽度の運動が持続できないどころか、『パンプアップ』は解消されないはずです。
マラソン”35Kmの壁”
『マラソン35kmの壁』という言葉を聞いたことはありませんか?
もしくは(30km)という見方もあります。
フルマラソンを走ろうと思えば息の上がるか上がらないか程度のペース(『ニコニコペース』なんていったりもしますが)、で走り続けることが完走への近道といわれていますが、このときカラダでは
脂質:糖質=1:1
の割り合いでATP(筋肉を動かすエネルギー)を生み出しています。
例えば体重60kg体脂肪率20%のヒトがフルマラソンを走るとなると
体内に蓄えられている脂肪は1g=9kcalであるため
60(kg) × 0.2 =12(kg) × 9(kcal) =12000(g) × 9(kcal)=108000kcal
となります。そのうち2割はホルモンなどカラダの構成などに使われるため、
残りの
108000(kacl) × 0.8 =86400(kcal)
がエネルギーとして利用できる脂質となります。
ランニングの消費カロリーは【体重(kg) × 距離(km)】であるといわれているため、フルマラソンは体重60kgのヒトで
60(kg) × 42(km) = 2520(kcal) 消費すると概算できます。
脂質:糖質=1:1 であることから
1260kcalずつが消費されていきます。
体内のグリコーゲンはおよそ40%を消費した時点から著しくパフォーマンスが低下することがわかっているため、
グリコーゲン貯蔵量1600(kcal) ×0.4 = 640(kcal)
を消費した時点でペースは落ちます。
それで、この640kcalを消費する時点というのが
だいたい30~35km地点となります。
つまり、マラソン後半で失速するのは必然的に起こるエネルギー(糖質)の枯渇によるところが大きく関与しているといえます。
このような背景があるため、糖質補給は運動する全てのヒトにとって最も大事な栄養補給と位置づけることができます。
筋肉の微損傷からの修復
有酸素運動でも筋トレでも、普段から運動習慣があるヒトないヒト関係なく筋肉痛に見舞われることが多々あると思います。
実は、運動中に起こるエキセントリック(筋肉の収縮様式のひとつ)が大きく関与していることが明らかになっています。
エキセントリック収縮は例えば
●ダンベルを持っているとき、下ろす方向にゆっくり耐えるときの上腕二頭筋
のように、筋が伸ばされる方向へ力を発揮するときに起こる筋収縮です。
ダンベルを持ち上げるときより、強い力を発揮することから筋肉の成長を促すトレーニングとして効率的な方法として認知されています。
さて、このように筋肉が成長する際に必ず微細な損傷(筋肉の分解)が起こっています。これをいかに食い止めるかが効率的な筋の成長を促す登竜門となります。
以前の記事でも紹介したように、
プロテインの摂取はアスリートのみならず広く一般人に飲用が推奨されていますが、その効果は専ら
筋の肥大促進<筋の分解抑制
であることを説明しました。
つまり運動後に感じる筋の微損傷からの回復にプロテインは有効である可能性が高いといえます。
プロテインはパワー系の種目や、アスリートまたはボディービルダーのかたが飲むものと認識されがちですが、日頃運動を意識的に心がけている皆さんにも是非とも飲んでいただきたいものなんです。
おすすめは【糖質+プロテイン】
ここまで筋肉における疲労の定義と栄養補給の重要性について説明してきました。
それで結局何したらいいの?ってことなんですが、
結論を言いますと
運動後は【糖質+プロテイン】が最強におススメです。
実はこの2つ、めちゃめちゃ相性がいいもので、単体で摂取するより合わせて摂取したほうが、その効果が相乗効果を示すことが研究で明らかになっています。
実は、一般的なプロテインには【デキストリン】として糖質が既に含有されています。飲みやすさが損なわれていないのはそのおかげです。
しかし、飲みやすいプロテインほど【たんぱく質含有率】が低いです。
【たんぱく質含有率】とは1スクープに含まれるたんぱく質の含有量で、大体75~80%程度に抑えられています。
より良質なたんぱく質を摂取したい方は
たんぱく質含有率の高いプロテインと糖質【デキストリンなど】を別々で揃えることをおススメします。
*実際世界中のトップビルダーは何種ものサプリメントを使い分けています。
例えば以下のような組み合わせが推奨されます。
(私の愛用品です)
イチゴ味のプロテイン+粉飴
これで飲み易さが数段上がります。
まとめ
私が大学時代に経験した、
『体の疲労を取らなければ明日の激しいトレーニングに耐えられない』という思いから、勉強して突き詰めた答えがこれでした。
もっぱらお金がない時代はおにぎり等でまかなっていましたが
良質な、と問われればやはり製品には敵いません。
ぜひ皆さんの健康生活のご参考になればと思います。